「あんたたち、いったい何のつもりなの」
色の濃いヴァイザーは、すっかり閉じている。だから表情は読みとれなかったが、女の声はいらだっていた。
「へえ。さすがは正義の味方ってとこっスね」
「これからどうなるかわからないってのに、まだ格好をつけていられるとはね」
男たちがヘラヘラと笑うと、ハリケンブルーは椅子に座ったまま胸をそびやかし、
「さあ、はやく解放しなさい。いまなら何もなかったことにしてあげるわよ」
凛と澄みきった声が、寂れた倉庫に響き渡った。
※
なんという男たちなのだろう。
少しだけ目をとじるつもりで、意識が途切れた。気がつくと、見おろしていたのは、二人の民間人だった。
どうやらジャカンジャの追撃からは、逃げおおせたらしい。
ハリケンブルーは安堵のため息をついたが、立ち上がろうとして、ハッと身をかたくした。
椅子の背を背中で抱くようにして、手枷で手首を繋がれている。
そればかりか、椅子の座面を跨ぐ形で、ブーツの足首にも、手錠が打たれていた。
(こ、こいつら……)
べつに動揺をしたわけではない。
シノビスーツは装着したままだ。
ということは、戦車のハッチを閉めているも同様で、武器ももたない男たちに、危害をくわえられることなどあり得なかった。
「お姉さん、強いんだろ。解放するなんて、とんでもない」
「だって、オッパイなんか握ったら、ひどい目にあっちゃうもんね」
言いながら男たちは、シノビスーツにつつまれたバストのふくらみに、粘っこい目をむけてくる。
白銀のボディスーツと、青いメタリックの耐衝ドレス。柔軟性にすぐれたそのシノビスーツは、女らしい躰のラインをすっかり浮かび上がらせていた。
そのことを、べつ気にしたことはない。
が、こうして露骨な目で見られれば、また別だった。
誇らしげにツンと上を向いた胸のふくらみは、まるで男たちに見てくれんといわばかりではないか。
「へっへっへつ。こりゃ、マジで旨そうだぜ」
ロンゲの男が背後に立って、ヘルメットの耳元にささやきかけてきた。
おもむろに乳ぶさがすくいあげられた。
――ガシャッ。
と、手枷の鎖が張ったのは、思わず男の手を払おうとしたからだ。
いつものハリケンブルーならば、それだけで手枷の鎖を断つことができただろう。
だが、激しい闘いのすえに、エネルギーセルは消耗しつくしていた。人の力では、手錠を引きちぎることなど、できるわけもなかった。
「けっこう大きいじゃん。Dカップはありそうだな」
「て、手をどけなさい」
「こいつはいいや。プルプルしてるじゃん」
「はなせっ」
無理やりバストを握られて、感じるわけがない。ただ力がくわわるたびに、ズキズキとした痛みがわきおこってくるだけだ。
だが胸のふくらみの弾力を確かめらるのは、我慢ならなかった。ハリケンジャーの変身姿で、バストを揉みまわされるなど、屈辱のほかになんといおうか。
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